白い巨塔 |
大学病院に渦巻く人間模様を鮮やかに切り取った山崎豊子による同名小説の映像化は、映画とテレビを含めると実にこれが5度目となる。 とりわけ、田宮二郎が主演した1978年版はテレビドラマ史に残る金字塔なだけに、 それから25年ぶりとなるリメイクにはいささか不安もあったが、冒頭の手術シーンからいきなりに釘付け。 一気呵成に見せきる語り口のうまさにはただただ圧倒的されるばかりで、えげつないまでの 権力闘争と医療のあり方についての真摯な問いかけとが交錯する“白い巨塔”の世界に、瞬く間に引き込まれてしまうこと受け合いだ。 その座を狙う助教授の財前(唐沢寿明)と、そうはさせじと画策する現教授の東(石坂浩二)の両陣営が繰り広げる 激しい選挙キャンペーンに、読み物的なおもしろみは回を追うごとに高まっていく。 『白い巨塔』が時代を超えて理屈抜きに楽しめる稀有な作品であることは、話の先を知っている人ほど再認識させられるのではないだろうか。 財前とは水と油の病理学教授・大河内を演じる品川徹を筆頭に、色のついていないフレッシュなキャスティングもいい。 あざとさと繊細さと華麗さとが折り重なり合う怒涛の展開に、いやが応にも第2部への期待感を抑えられなくなる。
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白い巨塔 〈1978年版〉 |
1978年~1979年にフジテレビ系で放映された、大学医学部の腐敗を描いたドラマのDVD。 原作は山崎豊子同名小説。 一文無しからスタートし、浪速大学医学部助教授となった財前五郎は、 名声を手に入れるために次々と画策する。
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写真見出し |
天真楼病院にアメリカから赴任してきた外科医・石川(石黒賢)。 患者をいたわり、誠意ある治療を信条にする情熱派の石川と、腕は超一流だが 冷酷で自分勝手な外科医・司馬(織田裕二)はことごとく対立する。 隠された誤診、手術の失敗、製薬会社や医療器具会社との癒着、医者による安楽死……。 さまざまな出来事の中で、司馬は非情と思われる行動しかとらない。一方、心労から体調を崩した石川は、胃がんだと判定される…。
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